ヨーロッパの蒸気機関車補遺


2〜3枚しか撮れなかった 蒸気機関車を集めました。
貴重な機関車もあります。各国順番はバラバラです。

 

写真は全て動態復元の蒸気機関車です
(現在は不明の機関車もいるはずです)

 

ヨーロッパでは驚くほど多くの種類の蒸気機関車が動態復元され、個人所有も含めて、博物館、社団法人が大切に保存しています。これを、イベントで、もしくはシーズンに合わせ、時には何周年記念などで本線を走行させます。
ただ定期的に運行している鉄道会社もあり、これは渡欧すれば撮影出来ますが、中には季節の休日しか走らなかったり、旅行会社が旅程を組んで数日間走るツアー牽引もあり、中にはたった1〜2枚しか撮れない機関車も随分ありました。
何より日本には正確な情報が入らないことが大きな問題で、まずは確実なダイヤを日本で把握することから始まります。
欧州では機関車を保存維持をするためには、運賃を払う乗客が優先で、撮影が目的のファンに対しては、私の経験では詳細を公表するケースは少なく日本から尋ねても、まず教えてくれません。従って、ここに掲載の機関車は現地で情報を得たのも沢山あります。いわば、長年の苦労の賜物なのです。
 
 

  
■ドイツ・ネルトリンゲン博物館の01 66 号 



正式には「バイエルン鉄道博物館」と「バイエルン鉄道有限会社」共同の車両の保存が、通称「ネルトリンゲン博物館」と呼ばれています。車両数は驚く
ほど多岐にわたります。 この元東独機 01 66号は一きわ群を抜いて人気があります。01 118号が引退した現在、動態保存の東独01原形はこれ1両です。 


 
 
 
 

ただ、ここはあくまで工場を持つ博物館であり、本格的技術と設備を持ったマイニンゲン工場(旧東独)とは違い、完璧に仕上げるのは無理だったと思います。
従ってボイラ圧力も制限されていた筈で、現に16気圧まで上げられなかったと思います。2枚とも66号機で、ドレスデンのプランダンプで走った時の写真です。
 

 
 
 
 ■ドイツ旅行会社IGEのツアー牽引
 

 
ドイツには鉄道旅行に特化したIGEという旅行会社があります。ここはファンをくすぐる夢のようなツアーを企画します。例えば動態の01形だけを集めて
数日の旅行を実施します。01を4両も集めて駆使、これはそのツアー途中リンダウに到着する01 150の重連列車です。この後何と3重連を仕立てました。

 
 
 
 
■もとフランス国鉄の141Rミカド(IGEツアー) 
 


これもIGEが主催した、ドイツを中心に各国の動態保存機を駆り出して牽引させるという夢の1週間のツアーでした。列車を追いかけるというのは
多くの場合、無理が生じます。ダイヤの不正確や変更、遅延は日常茶飯事。これは私が初めて見たフランス国鉄だった 141R1244号ミカドです。
今はスイスの「ミカド1244協会」の所有となっているようです。ドイツ・ジンゲンからスイスの国境に向う特別列車です。正面の仏国鉄のマーク
「SNCF」が見事です。この1244はアルコ社製ですが、実際はカナダで作られたようです。加速と共に爆竹音のようなブラストが響き渡りました。


 

 
  
 ■スロベニア国鉄06形(IGEツアー)
 

 
何かにスロベニアの蒸気機関車の大型旅客用 06形が動態で現存と書いてありましたが、ツアー列車はなんとスロベニアのこの機関車まで
駆り出しました。スロベニアは小さい国で、殆ど電化され、稀にイベントで貨物を牽いていました。客車7両牽引は最後かもしれません。
 
 
 
 
 
 

 
次駅のラティーニャで停車が予定されていたので、TAXIで追いかけて出発を撮りました。 私はもっと小さなD形の機関車かと思ったら、客車の屋根より高い大型の
 蒸気機関車で、しかもこれが客車を牽引する姿は多分2度と見られないと思います。今はこの018号機は一体どうなっているのでしょうか。既に廃車かもしれません。
 
 
 


 ドイツ Rhon-Zuge e.V.のバイエルン国鉄の70形 
 

 
これは偶然、日本で渡欧の準備をしていたら、ミュンヘンの都市郊外を大きく円形に回る列車の予定が出ているのを見つけました。ここは
都市の真ん中を流れるイザール川で分断され、東西に大きな駅が二つありますが、走行予定の楕円形の路線は地図でも見当もつかないので
ミュンヘン東駅の発着時刻は分かったので 駅で撮りました。この機関車はどうやらRhon-Zuge e.V.のバイエルン国鉄の70型のようです。

 
 
 
 
 
 

 
 この70形の凄いところは、動輪2軸=B形タンク車であるにもかかわらず(客車も古典の2軸単車ですが)、満席客車6両も牽引する馬力があったことです。
 多分地元では3両位をのんびり牽引している筈。ここが中間を流れるイーザル川で、ファンが何人か構えています。列車はサービスで橋上で停車しました。





■ドイツ・バーデン大公国邦有鉄道 G.Bad.St.E. VI c


この機関車は1920年から、バーデン大公国邦有鉄道で製造されたVIc形タンク機関車です。性能は極めて優れており、その後ドイツ連邦鉄道
でナンバーは75タイプが付与され、1966年まで活躍していましたが、同年惜しまれつつ 全機廃車となりました。ただこの1118号機だけは、
永久保存に指定されましたが、どこに保存されていたのか経歴は不明です。2007年に、マイニンゲン工場で突如として動態復活され、現在は
ウルム鉄道「Rokalbahn am Stetten - Gerstetten e.V.」が動態保存しています。この時はハウザッハからイベントで黒い森を走りました。




 
 
■ドイツ・Deuetschen Eisenbahn Vereins e.V. (DEV) 
 

 
ここは陸の孤島ともいわれる ドイツ中央の農村地帯の東側本線のアイストルプと、西側のジーケを結ぶ標準機道の線路が走っていたのですが、今では
途切れていて普段は列車は走りません。その中間にビルゼンと言う駅があり、そこからブレーメンの南約35キロにあるアセンドルフと言う小さな町を
ナローの機関車が走っています。たくさんの車両を保存していて、1966年にドイツ初の博物館鉄道を設立しました。この日はヘルマン号が出番です。

 
 
 
 
 
 

 
この日は歩きだったので遠くには行けず、ビルゼン駅から歩いて15分くらいの牧場で撮りました。 次駅から急勾配が続くようですが、今日は無理せずここで。
蒸気機関車も客車もDCも沢山保有していますが、殆ど詳細情報が入ってきません。Start - DEV Deutscher Eisenbahn-Verein e.V. (museumseisenbahn.de)
★ここのサイトを今もう一度見てみましたが、私が最初に見た内容とはだいぶ変わっていて、かなり詳細に書かれています。これだけ情報が入ればいいですね。
 
 
 
 
■ドイツ18形(プランダンプで運行) 


   
これは2017年のプランダンプで走った、初めて見た18-201です。完全重油焚きでダブルテンダ。もとは、ナチスの時代に生まれたタンク機の61 002号機を戦後
2-C-1のテンダ機に改造されたものです。動輪直径は実に 2.3m。個人所有の様で、今はノッセンの機関区に動態保存されているようです。 歴史的機関車です。






■ドイツ・ハルツ狭軌鉄道



これは通常も運航している、誰もが訪れる「ハルツ狭軌鉄道」です。ここはノルトハウゼンとヴェールニゲローデを結ぶ縦貫線とドライアンネンホーン経由
ブロッケン山頂を結ぶブロッケン鉄道線からなっている大きな私鉄路線です。線路はいずれもメーターゲージで大型タンク機関車が走っています。これは北
に位置するベールニゲローデを出発する普通列車です。合間に異色のDCも走っていて、楽しい路線です。 石炭積み込みの重機と右側の道路が邪魔ですが。









出発すると線路は右に大きく迂回するので周囲が住宅地なのと、どうしても半逆光になるのが気になりますが、上手く撮れば気になりません。









ブロッケンの山は有名で多くが撮っているので、今回私は町中で撮ることにしました。しばらく次駅に歩くと道路との平面交差もありました。









ここはもう次駅の近くですが、狭い道路を挟んで住宅地が続きます。珍しい光景です。列車は臨時で(チャーターかも)で来た6001号機です。
これもラッキーでした。この日に6001号機が走るとは全く知りませんでした。客車も緑色で違っています。一度マレーの重連も見たいですね。





■ハンガリー・子供鉄道



この鉄道はセーチェーニ山駅とヒューヴェシュ谷駅を結ぶ 約11kmのナロー非電化路線です。正式名称は「ハンガリー国鉄非公開(株)」です。
小さい時から規律のとれた活動をさせるビオネール運動に由来していますが、西欧の自由教育とは異なるので、EU国では問題もあるようです。
それはともかく、この蒸気機関車は1942年製の「490形」であることしか分からず、製造国、経歴などは全く知らないままに行ってみました。
760mmゲージで、客車も単車、板張りの座席で凄く揺れますが、車内から映像は ブレながらも撮ってあるのでアップしようと思っています。










山下りの次駅にDL牽引列車で行き、そこから蒸機牽引列車に乗り、車窓をビデオで撮りました。この駅からこの蒸機列車に乗り込みました。
どうも情報が確かではないのですが、シーズンの休日に蒸機は2往復します。アジア、他国人観光客は他にいません。白人至上主義の国です。





■オランダ・ホールン(Museum stoom tram Hoorn)



オランダの首都アムステルダムから普通列車で約40分、ホールンという駅に着きます。ここからマルケル湖に向かってミニ蒸気機関車が、シーズンには
は毎日走っています。ちょっと有名すぎる観光鉄道ですが、一度は見ておきたいと思って終点の湖畔駅メーデンブリックまで行きました。終点から20分
くらい戻るとオランダの象徴の風車と一緒に撮れる場所があります。幾つか機関車は所有していますが、これは1904年にドイツで製造された100年以上
も長寿の「NS7742通称Bekko」と呼ばれるC型です。客車もまた古く戦後オーストリアで製造された2軸の単車です。オランダはとても楽しい国です。





■ドイツ・ハルツフェルト鉄道



この鉄道は一旦廃線解体された軌道をボランティアが手作業で復活開業させた路線です。古典B形蒸気機関車と貴重なDCが走るナロ―鉄道です。
この機関車は「WN12 リーゼル」と呼ばれ、生まれは1913年です。 昔の路線を復活させるには、まだまだ延伸工事を続けなければなりません。
昔の残された記録と現況はこのホームページに載せていますのでご覧ください。    ige・db (itscom.net) のページの最後に紹介しています。




以上とても懐かしい思い出の写真ばかりです。
もう消息が分からない機関車もあります。彼ら
が生きているうちに記録に残せて幸せでした。